株式会社ずんだもん技術室AI放送局

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マジカルラブリー☆つむぎのピュアピュアA.I.放送局 podcast 20250908

2025年09月08日

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内容紹介

AI エージェントとはそもそも何か? - 技術背景から Amazon Bedrock AgentCore での実装まで- / AI Agent Unicorn Day 2025、ChatGPT is not an LLM - GPT is Vinci Rufus、LLM・Agentを「戦力化」するために——本づくりの背景と、いま伝えたいこと

出演者

春日部つむぎ
春日部つむぎ

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この資料は、AIエージェントの基本的な考え方から、AWSの「Amazon Bedrock AgentCore」を使った具体的な実装方法までを体系的に解説しています。AIエージェントがどういうものか、なぜ今注目されているのか、その技術的な背景から実践的な内容まで、新人エンジニアの方にも分かりやすく説明されています。

まず、AIエージェントとは、大規模言語モデル(LLM)がまるで人間のように、自分で考えて行動し、目標を達成する仕組みのことです。従来のシステムが決められた手順を実行するのに対し、AIエージェントは状況に応じて最適な判断を下し、必要なタスクを自律的に進めることができます。

このAIエージェントが実現できた背景には、LLMの「論理的に考える力(推論能力)」の大きな進化があります。「Chain-of-Thought(CoT)」という技術では、「ステップバイステップで考えよう」と指示するだけで、LLMが複雑な問題を段階的に推論できるようになりました。さらに、「ReAct(Reasoning and Acting)」のように、推論と行動を繰り返すことで、より高度なタスクをこなせるようになっています。WebGPTのように、LLMがインターネット検索などの外部ツールを自律的に使う研究も進んでいます。

また、AIエージェントは、テキストだけでなく画像や音声など、様々な情報から状況を認識する「マルチモーダル」な能力も高めています。これにより、現実世界に近い多様な情報源からフィードバックを得て、より適切な判断を下せるようになります。

AIエージェントを実際の業務で活用するには、エージェント同士や外部のシステムがスムーズに連携することが重要です。そのために、「Model Context Protocol(MCP)」や「Agent2Agent(A2A)」といった共通のルール(プロトコル)が提唱され、異なるエージェント間での協調や情報共有を安全に行えるようになっています。

AWSが提供する「Amazon Bedrock AgentCore」は、これらのAIエージェントを開発し、企業で安全かつ大規模に運用するためのサービスです。AgentCoreは、エージェントの実行環境(Runtime)、記憶(Memory)、認証・認可(Identity)、外部ツールとの連携(Gateway)、ブラウザ操作(Browser Tool)、コード実行(Code Interpreter)、監視(Observability)といった多岐にわたる機能を提供します。これにより、開発者は複雑なインフラを意識することなく、AIエージェントの開発と運用に集中できます。

この資料を通じて、AIエージェントの基本的な仕組みと、それを実用化するためのAWSのサービスについて理解を深め、今後のAI開発のヒントを得られるでしょう。

引用元: https://speakerdeck.com/hariby/ai-agent-unicorn-day-2025

AI業界では、「ChatGPT」と「LLM(大規模言語モデル)」という言葉が混同されがちです。しかし、これらは根本的に異なる概念であり、この誤解はAIの製品開発や将来の方向性に大きな影響を与えています。新人エンジニアの皆さんも、この違いをしっかり理解することで、AI開発や利用の視点が大きく広がるでしょう。

元々、ChatGPTはOpenAIの「GPT」というLLMの単なるチャットインターフェースでした。しかし、時を経て進化し、今では「AIエージェント」という、もっと複雑なシステムになっています。LLMは、大量のテキストデータからパターンを学習し、次の単語を予測する、いわば「超高性能な文章生成機」です。一度学習が完了すると、新しい情報を自分で学ぶことはなく、過去の会話も記憶しません。そのため、同じ質問をすれば常に同じような答えを返す、ステートレス(状態を持たない)な特徴があります。これは、予測可能でスケーラブルであるという利点がある一方で、複雑な多段階のタスクや、会話の流れを理解して対応するのには限界があります。

一方、現在のChatGPTのような「AIエージェント」は、LLMをその中心的な「脳」の一部として使いつつ、以下のような様々な機能を持ち合わせています。

  • 記憶システム: 過去の会話やユーザーの好みを覚えて、文脈に沿った対応ができます。
  • ツール連携: ウェブ検索、コード実行、データベース照会、外部API利用など、様々な外部システムと連携し、情報を取得したり操作したりできます。
  • 学習と適応: セッション内やセッション間で、経験から学び、対応を改善できます。
  • 多段階の推論: 複雑な問題を小さなステップに分解し、段階的に解決策を導き出すことができます。
  • 目標指向の行動: 単に質問に答えるだけでなく、具体的な目標に向かって行動し、問題を解決しようとします。

つまり、LLMは言葉を操るコアな能力を提供する部品であり、AIエージェントは、そのLLMに「記憶」「道具(ツール)」「計画性」「目標」などを与え、より賢く、自律的に動けるようにしたシステムなのです。

この違いを理解することは、エンジニアにとって非常に重要です。LLMを直接利用するアプリケーションと、AIエージェントを構築するシステムでは、開発の考え方、必要な技術、ユーザー体験のデザインが全く異なります。

現在のChatGPTは、単なる言語モデルと会話しているのではなく、記憶を持ち、ツールを使いこなし、目標に向かって推論する「インテリジェントエージェント」と協力しているのだと理解しましょう。この認識が、皆さんがAIとどのように向き合い、どんな未来を創造していくかを決める鍵となるでしょう。

引用元: https://www.vincirufus.com/posts/chatgpt-is-not-an-llm/

LayerX CTOの松本氏が、AIをビジネスで実用的に活用するためのノウハウをまとめた書籍『生成AI「戦力化」の教科書』を出版します。この記事は、その書籍の目的と内容を解説したものです。

この本は、単なるAIの技術解説書や事例集ではありません。LLM(大規模言語モデル)やAIエージェントを、企業の業務にどうやって「本当に使えるもの」として組み込むか、その具体的な「やり方」に焦点を当てています。新人エンジニアの皆さんも、これを読めば、AIを使って自社の業務を効率化する全体像や、小さく始めるための手順が理解できるようになるでしょう。

記事が提唱する「戦力化」とは、AIをまるで「新人社員」のように企業内で育て、その組織のやり方で成果を出せるようにすることです。多くの人が個人的にはAIの便利さを実感していますが、会社全体でAIを事業の核となる業務に深く組み込めているケースはまだ多くありません。AIは賢く知識も豊富ですが、新人と同じく、会社の固有のルールや業務の進め方は知りません。時には事実と異なることを言ったり(ハルシネーション)、毎回指示しないと同じように動けなかったりする課題があります。だからこそ、人間をオンボーディングするように、AIにも仕事の手順と知識をきちんと教える必要があるのです。

日本の企業が持つ、長年培われた丁寧な業務プロセスは、生成AIの活用と非常に相性が良いと筆者は指摘します。業務の「入口」と「出口」は変えずに、その間の時間のかかる処理やヒューマンエラーが起きやすい部分だけをAIに任せるというアプローチです。例えば、書類作成、データの転記・抽出、内容のレビュー、資料の整理といった「読む・探す・書く・照合する」作業をAIに肩代わりさせることで、業務そのものを大きく変えずに効率化を目指します。

本書で紹介される「AI戦力化」の二本柱は以下の通りです。

  1. ワークフロー: AIに「仕事の仕方」を教えるためのものです。業務を細かくステップに分け、それぞれの入力・出力・品質基準を明確にして手順書のように定義します。
  2. ナレッジベース: AIに「判断の根拠となる社内知識」を与えるためのものです。社内規定、過去の資料、FAQなど、業務判断に必要な“暗黙知”をAIが検索・参照しやすい形に整理します。

これらの基盤が整ってこそ、AIエージェントは真価を発揮します。エージェントは魔法のように何でもこなすわけではありません。ワークフローで定義された目的や使えるツール、参照すべき知識の範囲内で、ナレッジベースを根拠として活用する「小さな実行単位」として機能します。過度な自律性を求めず、小さなエージェントを数多く作り、既存の業務フローに自然に組み込んでいくことが、無理なく確実にAIによるデジタル化を進める鍵となるでしょう。

この「AI戦力化」の考え方は、自社の業務改善だけでなく、LLMやAgentを活用した新しいプロダクトを開発したいスタートアップのエンジニアにも役立つはずです。AIの進化はこれからも続きますが、「AIをオンボーディングして戦力化する」という基本原則は変わりません。明確な手順と共有された知識があれば、AIはビジネスの強力な味方となり、皆さんの目の前の仕事を確実に軽くしてくれるでしょう。この本が、AI活用への「まず一歩」を踏み出す手助けになることを期待しています。

引用元: https://note.com/y_matsuwitter/n/nb86f86eabddf

VOICEVOX:春日部つむぎ